CASE STUDY

CASE STUDY
オールバウンドで150%成長へ。「アンバサダー」「ライブコマース」「インバウンドコミュニケーション」で循環させるKANEBOのグローバル戦略

木津 裕美様(花王株式会社 化粧品事業部門 プレステージブランドビジネスグループ KANEBOブランドマネジャー)

SHARE ON
取材・文:NOVARCA 撮影:NOVARCA
OVERVIEW

かつては「日本で成功した施策の翻訳」に留まってしまい、本格的なグローバル戦略が不足していたカネボウ化粧品(KANEBO)。そこからNOVARCAとのパートナーシップを通じ、在日外国人や熱量の高いファンを巻き込む「アンバサダープログラム」を始動しました。地道なファン作りからDouyin(中国版TikTok)を活用した越境ライブコマースやグローバル・コミュニケーションを展開し、インバウンドとアウトバウンドの双方で急成長を遂げる同社の事例をご紹介します。

課題

  • グローバル戦略の不在:「日本でうまくいった事例」を翻訳して展開するのみで、現地に深く刺さる独自の戦略やファンベースが構築できていなかった
  • 文化・気候の壁:タイでの「希望」の捉え方の違いや、高温多湿な地域における「クリーム」の敬遠など、日本視点だけでは越えられない壁があった
  • ファンベースの欠如:一過性のプロモーションに終わりがちで、ブランドへの愛着を持ち、継続的に発信・購入してくれる熱心なファン層が可視化されていなかった

施策

  • 在日外国人・アンバサダー起点のファン作り:NOVARCAとの提携により、日本に住む外国人やブランドへの愛を持つ人々を「アンバサダー」として組織化。彼らの熱量ある口コミや発信を起点に、信頼性の高いコミュニティを形成した
  • Douyin越境ライブコマースと流通拡大:成長が著しいDouyinでのライブコマースへ参入。アンバサダーやライバーの熱量をそのまま越境ECの売上につなげ、流通拡大も推進した
  • インサイト起点のローカライズ:現地の文化や気候に合わせ、商品の伝え方を再定義。例えば、暑い国では売りにくいクリームを「胎脂(赤ちゃんの肌を守る成分)」のストーリーで訴求するなど、現地視点でのコミュニケーションを徹底した

成果

  • インバウンド・アウトバウンドでの150%成長:2025年も前年比150%ペースで推移。訪日時の購入と帰国後の越境EC利用が循環する「オールバウンド戦略」にて成長を実現
  • クリームが主力化し、ブランドの柱に:洗顔料などのエントリー商品だけでなく、高単価なクリームがアジア市場でも受け入れられ、クロスセルに成功
  • 愛あるファンの循環:単なる拡散ではなく、アンバサダーの「ブランド愛」が新たな顧客を呼び込む持続可能なファンベースが確立された

グローバル戦略不在からのスタート。鍵は「アンバサダー」の熱量

KANEBOブランドのグローバル展開は、決して順風満帆なスタートではありませんでした。当初は「日本でうまくいった事例を精度の高い翻訳で展開すれば通用する」と考えられていましたが、文化背景の異なる海外市場では意図が伝わらず、苦戦を強いられていました。

そこで舵を切ったのが、NOVARCAとのパートナーシップによる「アンバサダープログラム」です。これは単に有名なインフルエンサーを起用するのではなく、在日外国人や実際に商品を愛用しているファンを「アンバサダー」として組織化する取り組みです。彼らが「なぜこの商品が良いのか」を自らの言葉で熱く語ることで、信頼性の高い口コミが広がり、まずは日本国内にいる外国人コミュニティから火がつきました。この熱量がSNSを通じて本国へと伝播し、強固なファンベースの土台となったのです。

ライブコマースと流通拡大で加速する「オールバウンド戦略」による成長

アンバサダーによる草の根のファン作りと並行して、同社はDouyin(中国版TikTok)などを活用した越境ECライブコマースへと参入しました 。 アンバサダーが培った「ブランド愛」をライブ配信に乗せて届けることで、一過性のブームではなく継続的な売上を創出。さらに、このデジタル上の盛り上がりをテコに、現地の流通拡大も進めています。

こうした展開の中で、現地インサイトに合わせたローカライズも奏功しています。例えば、高温多湿なアジア地域では敬遠されがちな「クリーム」に対し、独自の「胎脂(たいし)」のストーリーを打ち出すことで「暑さから肌を守るもの」として再定義し、ヒットにつなげました。

結果として、インバウンドでの購入が帰国後の越境EC利用につながり、さらに現地での購入へと広がる循環が完成。2025年も前年比150%ペースでの成長を見込むなど、インバウンドとアウトバウンドを統合した「オールバウンド」な成功モデルを確立しています。

「インバウンドに全社で取り組みたいが、どこから手をつければいいか分からない」「部門間の連携がうまくいかない」。そんなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひ一度NOVARCAにご相談ください。

木津 裕美様
花王株式会社 化粧品事業部門 プレステージブランドビジネスグループ KANEBOブランドマネジャー
カネボウ化粧品入社後、宣伝部配属。イベント・テレビ広告を担当し、その後、雑誌媒体を中心とした広告・広報・PR活動を通じて、ブランドコミュニケーションを担当。カネボウ化粧品のメイクブランド『コフレドール』『ルナソル』のブランド事業部を経て、2022年1月より「KANEBO」ブランドマネジャー、2025年1月より「KANEBO」「LUNASOL」の2ブランドのブランドマネジャーに就任。
取材・文:NOVARCA 撮影:NOVARCA
1

CASE STUDY

ケーススタディ・事例一覧を見る

DOCUMENT

お役立ち資料を見る

KNOWLEDGE
ノウハウ・ナレッジ

powered by

読み込み中...